71. IgD型骨髄腫患者肝臓Disse腔の沈着物に関する組織化学的研究

概要

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〔目的〕腎不全で死亡したIgD型骨髄腫患者の肝臓のDisse腔内に異常沈着物を認めたため, 組織化学的検索を行なった。〔材料・方法〕59才男性。光顕用組織片はホルマリン固定, パラフィン切片を作成し, HE, PAS, PAM, Mallory-azan, Congo-red染色を行ない, 明視野顕微鏡と蛍光顕微鏡で鏡検した。電顕用組織片はglutaraldehyde osmium tetroxide二重固定, またはglutaraldehyde単独固定, エポン包埋, 超薄切片を作成し, 無染及び酢酸ウラン・クエン酸鉛二重染色を行なった。また一部は凍結超薄切片を作成し, 酢酸ウラン単独染色後鏡検した。〔成績〕HE染色では肝細胞索の萎縮が著明で, Disse腔の拡張かあり, 酸好性の幅約0.5μの帯状沈着物が認められた。この物質はMallory-azanでは淡青色に染まり, PAS, PAM陽性だがCongoredでは染まらなかった。電顕では, 内皮細胞にそって電子密度が高い帯状の沈着物が認められ, 所々に線維成分が混在していた。凍結超薄切片では, この沈着物は不明瞭であった。〔結論〕Disse腔内に認められた沈着物は, 糖タンパクの一種であると思われる。
日本組織細胞化学会の論文
1977-10-20