青年期の自我発達上の葛藤から不適応状態への心理過程
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概要
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本研究の目的は,青年期の自我発達上の葛藤から不適応状態への心理過程を明らかにするものである。Cattellの自我強度尺度得点は,Barronの自我強度尺度得点とに高い相関があり,また,Coddingtonの生活変化単位尺度得点は,日本の研究者が作成した中学生・高校生用の学業ストレス尺度得点とに正の相関が認められたことから,Cattellの自我強度尺度とCoddingtonの生活変化単位尺度の併存的妥当性が検証できた。次に,202名の中学生・高校生に対してCattellの自我強度尺度,Coddingtonの生活変化単位尺度,及び長尾(1989)による青年期の自我発達上の危機状態尺度(ECS尺度)を実施した。Lazarus(1999)のシステム理論にもとづいてパス解析を行った結果,ECSから不適応へいたる過程は2通り明らかにされた。その一つとして,ライフイベントのない中学生の場合,自我の強さがECSの葛藤内容に影響を及ぼし,その葛藤が自責という対処行動によって増加され,その結果,不適応にいたる過程があげられた。2つ目に高校生の場合,自我の強さとライフイベントの衝撃度とが自我発達上の葛藤に相互に働いて,自責という対処行動も加わり,その結果,不適応にいたる過程があげられた。
- 日本発達心理学会の論文
- 2002-12-20
著者
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