閉鎖区間の前後に分散する手がかりに基づく日本語語中閉鎖子音の知覚
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概要
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日本語語中閉鎖子音の知覚における閉鎖以前の音響的手がかりの寄与を音韻修復現象を利用して調べた。自然発音されたVCV音声では、破裂部及び破裂後のホルマント遷移部を完全に雑音で置換しても、90%近くの場合に元の子音が雑音と共に存在しているかのように知覚された。一方、閉鎖以前の部位を定常母音や無音で置き換えた場合には、雑音置換のもとでの元の子音の修復率は自然発生された。VCVよりも有意に悪かった。更に閉鎖以前の部位を他の閉鎖子音(C')のものに置き換えた音声では、雑音置換時間が長くなるにつれてC'の修復率が高まった。これらの結果は、特に閉鎖以後の手がかりが劣化したときに、閉鎖以前の部位に分散している音響的手がかりが日本語語中閉鎖子音の知覚に大きく寄与することを示唆している。
- 社団法人日本音響学会の論文
- 1992-02-01
著者
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