腎動脈に存在する結合織タンパクの昇圧作用 : 第2編ヒト腎動脈の結合織タンパクと高血圧

概要

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正常血圧者24人、高血圧患者12人の腎動脈中のcollagen、non-collagenous protein、elastinを抽出した。高血圧患者の腎動脈中のcollagen含量、non-collagenous protein含量、collagen/elastin比は正常血圧者のそれよりそれぞれ1.7倍、1.5倍、1.7倍高値を示した(p<0.001). 腎動脈中のcollagen含量とmean arterial pressure, non-collagenous protein含量とmean arterial pressure, collagen/elastin比とmean arterial pressureとにはそれぞれ正の相関が認められた(r=0.65、p<0.001; p<0.51、p<0.01; r=0.61、p<0.001)。これらの結合繊タンパク分画は性差により異ることはなく、collagen、non-collagenous proteinは加齢とともにわずかに増加したが、有意ではなかった。従って、ヒト腎動脈中のcollagen、non-collagenous proteinは高血圧と密接な関係があることが判明した。この変化が高血圧が持続して2次的に生じた病変なのか、高血圧の病因となるかはこの検索だけでは決定できないが、動物実験の成績(第1編)と考え合わせると、後者可能性も否定できないと推測された。
社団法人日本泌尿器科学会の論文