膀胱ランダム生検材料のスタンプ細胞診による術中迅速診断の試み

概要

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膀胱粘膜ランダム生検は,腫瘍病変の範囲,取り残しの有無の確認を目的とする.これらの情報を術中に得て当該手術や術直後の治療に反映させることを目的に, TUR-Bt 術中に行う膀胱粘膜ランダム生検材料からスタンプ細胞診標本を作成し,その迅速診断法への応用の可能性について検討した.まず,膀胱腫瘍患者14例に対し15回経尿道的に腫瘍切除を行って採取した19検体の腫瘍標本について,術中に切除材料のスタンプ標本を作成し細胞診断を行って細胞診断の適正さを判定した.術中細胞診の正診率は84.2%であった.次に,前述の手術において得られた膀胱粘膜からのランダム生検材料68検体について実施したスタンプ細胞診の正診率を確かめたところ73.5%であった.この数値はやや低い成績であったが,その原因は悪性として扱うべきものと良性に近いものが混在する Papanicoloaou 分類の class 3 の扱いにあった.以上の成績は,本法の迅速診断法への応用の可能性を示唆するものであった.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1994-08-20