前立腺原発小細胞癌の1例
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概要
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前立腺小細胞癌はまれな疾患であり,欧文で約50例,和文で2例の報告があるに過ぎない.我々は,文献上最年少の24歳男子に発生した前立腺小細胞癌を経験したので報告する.症例は24歳男子,1年半続いている右背部痛と排尿困難を主訴に紹介された. IVP上右無機能腎主水腎症であった.腹部CTと膀胱鏡で膀胱後部腫瘍が疑われた.経会陰式針生検組織は未分化悪性腫瘍であった.血清NSE, LDHは異常高値であった.全身CT,上部消化管内視鏡検査の結果異常はなかった.患者はイレウスが進行するため試験開腹,人工肛門造設術を行った.このときの所見では,膀胱後部に腹腔内へ浸潤する前立腺由来と見える大きな腫瘍を認め,大網ならびに腸間膜リンパ節に多発性転移を認めた.腫瘍とリンパ節の病理組織診は前立腺小細胞癌であった.免疫組織化学染色による腫瘍マーカーの検索の結果NSEとクロモグラニンが陽性であった. VP-16, CDDPによる抗癌化学療法を行いMRを得, LDH, NSEも著明に低下したが第58病日死亡した.我々の研究室で本患者より前立腺小細胞癌株が樹立された.この細胞株は致死的な本疾患の新しい治療法の確立に寄与するものと考えられる.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1994-06-20
著者
-
埴岡 啓介
神戸大学 泌尿器科
-
守殿 貞夫
神戸大学医学部泌尿器科
-
荒川 創一
神戸大学医学部泌尿器科
-
柯 昭仁
淀川キリスト教病院泌尿器科
-
岡田 弘
神戸大学医学部泌尿器科
-
中野 康
新須磨病院泌尿器科
-
原田 益善
新須磨病院泌尿器科
-
後藤 章暢
神戸大学医学部 泌尿器科
-
江藤 弘
神戸大学医学部泌尿器科学教室
-
中野 康治
神戸大学大学院医学系研究科腎泌尿器科学
-
柯 昭仁
神戸労災病院
-
埴岡 啓介
神戸大学医学部病理
-
原田 益善
新須磨病院 泌尿器科
-
龍見 昇
龍見泌尿器科
-
龍見 昇
神戸大学医学部泌尿器科学教室
-
中野 康
神戸大学医学部泌尿器科学教室
-
柯 昭仁
新須磨病院泌尿器科
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