慢性血液透析患者の顆粒球機能について

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慢性血液透析(HD)患者数が増加するにつれて,腎癌や尿路上皮腫瘍などにより泌尿器科的手術をうける慢性血液透析患者が増加している.HD患者においてはその易感染性が従来より問題とされているが,その原因追及のためにHD患者の顆粒球機能のうち,顆粒球殺菌能と顆粒球貪食能について32名のHD患者と18名の健常者について検討を加えた.顆粒球殺菌能は顆粒球が異物を貪食した時にrespiratory burstがおこり,このとき産生されるsuperoxide radicalをルミノール依存化学発光法にて測定し,貪食能はオプソニン化された蛍光ビーズを貪食した顆粒球の割合をフローサイトメトリーにより測定した.この結果HD患者の単位顆粒球あたりの殺菌能は健常者より亢進していた.しかし,顆粒球貪食能はHD患者では健常者より有意に低下していた.このことがHD患者の易感染性の一因となっていると考えられた.血液透析中顆粒球数は開始後30分で前値の63%に低下するが1時間後に85%,透析終了時には前値の95%に回復した.顆粒球活性酸素産生能は透析開始後一過性に低下するがHD終了時には前値より高値となった.これら顆粒球機能の変化には血清側因子も寄与しているため今後血清因子の検討も必要であると考えられた.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1992-09-20

慢性血液透析患者の顆粒球機能について

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