不完全閉塞尿管における最大活動張力および収縮蛋白,コラーゲン含量の経時的変動

概要

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日本白色家兎を対象とし,不完全閉塞尿管作製後,収縮蛋白(アクチン,ミオシン)およびコラーゲン含量と最大活動張力の変動を経時的に測定した。その結果,最大活動張力は閉塞後2週目まで急激に減少し,以後8週目まで増加するが,その後徐々に減少するという特徴的変動を示した。一方,ミオシンは,最大活動張力とほぼ同様な変動を示し,両者の間には強い相関関係が認められた(R=0.851)。しかし,同じ収縮蛋白の一つであるアクチンは,特別な変動を示さず,最大活動張力との間には相関関係が認められなかった(R=0.494)。ところで,従来コンプライアンスとの関係が重視されてきたコラーゲンと最大活動張力との関係をみると,両者の間には弱いながらも負の相関関係が認められた(R=-0.716)。そこで,ミオシンとコラーゲンの比(ミオシン/コラーゲン)と最大活動張力との相関関係を求めたところ,相関係数(R)=0.969と最も強い相関が得られた。以上より,コラーゲンは活動張力にも関与し,ミオシン-コラーゲン比が閉塞尿管における収縮力の有効な指標になるものと思われた。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1991-01-20