実験的膀胱炎の感染発症機序に関する研究 : 第1報 細菌侵入経過の分析
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概要
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マウス膀胱内にE.coli(06)2×10^7cells/mlを0.05ml(PBS)ずつ経尿道的に注入し,実験的膀胱炎を作成し,感染発症の過程を免疫組織化学的に検討を加えた.1)感染の進展と尿中細菌数:E.coli(06)注入7日後まで平均10^6cells/ml以上の尿中細菌数が認められたが,注入14日後には尿中細菌数は認められず,自然治癒の状態となった.2)膀胱粘膜上皮のmucin層:PBS液0.05ml膀胱内注入したcontrol膀胱組織においては,粘膜上皮のmucin層の消退は認められず,E.coli(06)膀胱内注入2時間後でmucin層は部分的に消退した.注入6時間後で膀胱粘膜上皮全体にmucin層の消退が認められた.注入3,7日後の膀胱粘膜上皮ではmucin層の消退はさらに強く,又mucin層の再生はなく,細菌の粘膜上皮への附着,増殖は一段と強く認められた.又注入14日後には,mucin層の再生が確認された.3)細菌の膀胱組織内侵入:E.coli(06)注入2時間後,すでに粘膜固有層に細菌の侵入を認めた.法人6時間後には粘膜下層に多数の白血球に貧食されない"free"の細菌の侵入を認めた.注入12,24時間後では白血球に貧食されているものが目立つようになる.注入3,7日後には粘膜上皮に多数の細菌の附着,増殖を認めるが,粘膜下には"free"の細菌はほとんど認めない.4)膀胱組織および浸潤細胞の動態:膀胱粘膜下の水腫は,E.coli(06)注入2時間後より出現し,注入6時間後に強くなる.注入12,24時間後にむしろ軽減するが,注入3,7日後に再び強く認められる.E.coli(06)注入2,6時間後に粘膜下に白血球が出現してくる.注入12,24時間後に粘膜下の白血球は増加L,膀胱腔内にも白血球が認められるようになる.注入3,7日後には粘膜下の白血球は著しく増加し,リンパ球,プラズマ細胞の浸潤も増加する.5)免疫担当細胞:膀胱組織内のリンパ球について注入3,7日後の膀胱組織を抗Thy-1血清を用いて酵素抗体法にて検索するとT-リンパ球が5〜10%であった.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1984-09-20
著者
-
熊本 悦明
札幌医科大学医学部泌尿器科
-
西尾 彰
札医大
-
岡山 悟
札幌医大尿路感染症研究会
-
西尾 彰
札幌医科大学泌尿器科学教室
-
西尾 彰
札幌医大
-
西尾 彰
西尾医院
-
西尾 彰
札幌医科大学 泌尿器科
-
岡山 悟
札幌医科大学泌尿器科学教室
-
熊本 悦明
札幌医科大
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