火山深部におけるメルトの存在 : 地震波速度からの推定
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概要
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メルトの存在を反映すると考えられている地震波の低速度異常について, 物性の知見をもとに実体を議論する。火山深部の地震波速度構造の推定において現在までにもっとも成果をあげているのは遠地地震の走時を用いる方法である。しかし, これには, 速度の絶対値が得られない, 空間分解能が低い, S波速度構造が得られない, といった短所がある。近地地震や人工地震をも併用することが必要である。反射波の検出は速度異常の検出に有効である。震源, 速度異常, 観測点が適切な配置にあれば, 波長スケールの速度異常でも検出可能である。地殻に関しては, 強い物質的不均質性ゆえ, 現在得られているP波速度またはS波速度だけから低速度異常の原因を判定することは困難である。しかし, P波速度, S波速度がともに得られれば原因を判定できる可能性がある。ここでは, Vp/Vsの値をひとつの指針として提案する。最上部マントルに関しては, その均質性ゆえ, 地震波速度から温度やメルト量を推定できる。日本列島の活火山の直下では1〜3%程度のメルトが存在すると期待される。また, 恐山や那須岳の直下では低速度領域内に反射面が観測されており, 部分熔融領域最上部に集積したメルトであると考えられる。
- 日本地質学会の論文
- 1994-04-28
著者
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