中央構造線の起源とその初生的形態
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概要
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初生的の中央構造線は,日本における中生代酸性火成作用の南方前線に位置する領家帯の南縁に,延性剪断帯として発生した。この剪断帯は,領家帯がなお高温状態にあった時期に,フォッサマグナ対曲の形成と平行して,雁行状配列を示す小剪断帯群として形成された。小剪断帯群は,フォッサマグナ対曲の東翼を構成する関東セグメント,フォッサマグナ対曲の軸部に位置するフォッサマグナ湾曲セグメント,そしてフォッサマグナ対曲の西翼を構成する伊那セグメント,三河-近畿セグメント,近畿-四国セグメント,四国-九州セグメント,臼杵-八代セグメントなどである。関東セグメントは右横ずれ剪断帯,フォッサマグナ湾曲セグメントは傾斜方向ずれ剪断帯として形成された。これに対してフォッサマグナ対曲西翼を構成する小剪断帯群は左横ずれ剪断帯である。剪断帯の横断面でみられる内部構造は,露出に限界があり充分明らかにされないのであるが,単純ではなく,剪断変形が著しく強く行なわれた亜帯を数多く含みながら,全体として剪断帯中央部へ向って剪断変形が強くなるという特徴を示すらしい。現在の中央構造線は,大部分のところで,このような剪断帯にそって形成されているのであるが,しかも最北端に位置する強剪断亜帯にそって位置しているようである。即ち現在の中央構造線は,最北端の強剪断亜帯より南側に位置する領家帯の部分をとりはずし消滅させながら,領家帯と三波川帯を接触させる形で形成された。各セグメントの横ずれ剪断帯の末端には分岐微小剪断帯を主体とする特殊な構造が形成されている。桜樹屈曲などの中央構造線の屈曲部は,雁行的に配列する2つの剪断帯セグメントを連結する部分にあたる。
- 日本地質学会の論文
- 1980-03-30
著者
-
横山 俊治
広島大・理
-
原 郁夫
Institute of Geology and Mineralogy, Faculty of Science, Hiroshima University
-
庄司 勝信
Institute of Geology and Mineralogy, Faculty of Science, Hiroshima University
-
桜井 康博
Institute of Geology and Mineralogy, Faculty of Science, Hiroshima University
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横山 俊治
Institute of Geology and Mineralogy, Faculty of Science, Hiroshima University
-
秀 敬
College of Integrated Arts and Sciences, Hiroshima University
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原 郁夫
Institute Of Geology And Mineralogy Faculty Of Science Hiroshima University
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櫻井 康博
Department Of Earth And Planetary Systems Science Faculty Of Science Hiroshima University
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桜井 康博
Department of Earth and Planetary Systems Science, Faculty of Science, Hiroshima University
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桜井 康博
Department Of Earth And Planetary Systems Science Faculty Of Science Hiroshima University
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庄司 勝信
Institute Of Geology And Mineralogy Faculty Of Science Hiroshima University
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