美濃帯ジュラ紀砕屑岩の堆積相と砂岩組成および堆積環境

概要

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調査地である美濃帯のチャート-砕屑岩シークェンスは, トリアス紀中世からジュラ紀古世の層状チャート, ジュラ紀古世から中世の珪質泥岩, ジュラ紀中世から新世の頁岩・砂岩から構成される。本研究では, そのうちの砕屑岩層の堆積場の復元, およびその供給源の推定を行った。堆積相を検討した結果, 珪質泥岩の上に整合的に重なる頁岩は, 末端タービダイト相の性格を示し, 深海平原のような環境での堆積物に比較される。さらにその上位の砂岩は, 近源タービダイト相で, チャネル充填堆積物の複合体と考えられる。また砂岩組成より, この砂岩は石英・長石に富み, 岩片に乏しいことがわかった。比較的カリ長石に富み, かつて風成環境に置かれたことを示す円磨度のよい石英粒子が普遍的に含まれている。さらにわずかではあるが, 円磨された紫色のジルコンが含まれている。これらの特徴より, この砂岩の供給源は, 変成岩や深成岩が卓越するような大陸地域が考えられる。また, 当時の構造的背景として, Izanagi Plateがアジア人陸東縁で沈み込みを始めており, 本砕屑岩層はその時の未成熟な海溝において堆積した海溝充填堆積物であると思われる。
1992-03-20