白亜紀の高堆積速度と高海水準
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
白亜紀は顕生代を通じて地球的規模で最も海水準が上昇したといわれている。そのなかでも, Cenomanian, Campanian両期を中心に第一オーダーの海水準はピークに達している (Haq et al., 1988)。一般的概念として, 海水準が高いと陸地面積が縮小するので砕屑物の供給が低下し, 逆の場合は砕屑物が増大すると考えがちである。事実, シーケンス層序学ではタービダイトの発達を海面低下期と対応させている。しかし, 日本列島の海成白亜系では, 海水面の上昇期に砕屑物の供給は極大に達している。例えば, Campanian-Maastrichtianを代表する領家帯の和泉層群は4000 m/Maの堆積速度を, 同じく四万十帯の同時代層は240〜580 m/Maの値を示し, 他の時代に比べて遥かに大きい堆積速度である。北海道の白亜系でも類似の傾向がみられる。この事実は, クラプレートの活動的縁辺域にあった日本列島では地域的テクトニクスの影響が第一オーダーの海水準変動よりも遥かに大きかったことを意味している。このことは, 造山運動の最盛期は最大海進期に一致するという"Haugh Effect" (Hallam, 1981)に, 最大砕屑物供給期を加えるべきことを示唆している。
- 1997-06-30
著者
関連論文
- はじめに
- 美濃帯ジュラ紀砕屑岩の堆積相と砂岩組成および堆積環境
- 2 天竜海底谷・南海トラフ・銭州海嶺の潜水調査 : 日仏KAIKO調査第1次航海
- 銭州海嶺周辺海域の地形,構造およびテクトニクス : 日仏KAIKO計画第1節調査(1984)報告 : 海洋地質
- 北海道東部,上部始新統浦幌層群の砕屑性クロムスピネルとその起源
- 白亜紀の高堆積速度と高海水準
- 56 古赤道起源の常呂帯オフィオライト
- 佐久層について : 中生代
- 白亜紀エゾ地向斜の砕屑性堆積物
- 195. 壱岐, 中新東勝本層に見られる背弧海盆堆積物の堆積相とその形成環境
- 72. 九州の第三紀堆積盆の発達過程とプレート・テクトニクス
- 71 西南日本第三紀礫質堆積物の層序学的・造構的特性について
- 205 日本列島周縁陸棚斜面泥質堆積物の粘土鉱物組成の地域的特性について
- 日本海東縁の海底地質構造 : 新生海溝問題と関連して
- 太古の海の記憶:オストラコーダの自然史 池谷仙之・阿部勝巳著
- はじめに
- 写真集地球からのメッセージ鹿児島 : 鹿児島県地学会写真集編集委員会編 (代表大木公彦), 文堂出版社, 1997年7月30日発行, 27cm×25.5cm, 612ページ, 定価3,150円
- 加藤 誠教授退官記念論文集, 川村信人・岡 孝雄・近藤 務編, 加藤 誠教授退官記念記念論文集刊行委員会, 1997年3月15日発行, A4判, 612ページ, 頒布価格8,000円, (送料・消費税込み)
- 九州の中軸帯および黒瀬川構造帯の白亜紀堆積盆の堆積作用とテクトニクス
- 第四紀における姶良カルデラ周辺地域の構造発達史 (総特集 南九州の火山噴火と遺跡の年代)
- 日本の自然, 地域編 8 南の島々 中村和郎・氏家 宏・池原貞雄・田川日出夫・堀 信行編
- 鹿児島湾海底堆積物中の重鉱物分布特性
- 駿河湾表層堆積物中の重鉱物分布
- 日本地質学会を思う
- よみがえる分子化石 : 有機地質学への招待, 秋山雅彦著, 共立出版株式会社, 1995年4月1日初版発行, B6判, 120ページ, 定価1,380円
- 193. 西九州の古第三紀堆積シークェンスの発達
- 155. 本邦中・新生界の珪質砂岩の堆積と由来
- 阪神大震災から学ぶこと : 日本地質学会の対応を考える
- 海の自然史, ティアート・H・ファン・アンデル著, 水野篤行・川幡穂高訳, 築地書館, 1994年3月30日発行, B5判, 263ページ, 定価3,605円
- 白亜紀の陸と海の生物の多様性の解析と国際対比
- 堆積盆解析における基礎的問題
- 白亜紀の自然誌, 小畠郁生著, 東京大学出版会, 1993年10月8日発行, B5判, xii+200+xvページ, 定価2,472円
- 下部白亜系関門層群砂岩の岩石学的性質と起源
- 113 砂岩組成からみた下部白亜系関門層群と慶尚層群の地質学的関係
- 154 下部白亜系関門層群の堆積層と河川-湖招成堆積過程
- 玄界灘沿岸に発達する礫浜の形成機構
- 層序学から堆積学へ:堆積学30年の研究遍歴
- 東シナ海堆積盆地と中部九州地溝
- 北九州市小倉南方山田緑地周辺の下部白亜系脇野亜層群の層序ならびに堆積学的特徴
- 白亜紀湖成層脇野亜層群にみられるリズマイトの産状と起源
- 九州地方 日本の地質9 日本の地質『九州地方』編集委員会編 (代表編集委員:唐木田芳文・早坂祥三・長谷義隆), 共立出版 1992年7月25日発行, A5判, 371ページ, 定価9,270円.
- 269 対馬海峡南部の底質重鉱物組成の特性
- コメント : 東シナ海堆積盆地と中部九州地溝
- PRE-CRETACEOUS TERRANES OF JAPAN : Publication of IGCP PROJECT 224 : Pre-Jurassic Evolution of Eastern Asia, Edited by Koichiro Ichikawa, Shinjiro Mizutani,Ikuo Hara,Shigeki Hada and Akira Yao
- 140 九州-琉球弧の始新世前弧域の堆積作用とプレート境界
- 155 九州の下部白亜系の堆積過程とアジア東縁部でのカリフォルニア型プレート境界
- 119 再堆積礫岩による古流系解析 : 南部日高山脈周辺の新第三系の例
- 図説地球科学 杉村新・中村保夫・井田喜明編著
- 207 日本海溝堆積物のSr同位体組成の層序変化 : 風成堆積物の可能性
- 日本海溝堆積物(DSDPコア試料のRbおよびSr組成について : 海洋地質
- 日本海溝堆積物 (DSDPコア試料) のSr同位体組成について (予報) : 海洋地質
- 201 駿河湾表層堆積物の重鉱物
- 日本列島周縁陸棚斜面泥質堆積物の粘土鉱物
- 劉東生ほか著 : 黄土与環境
- 他山の石:イギリスの地質学科再編成
- 山口県新第3紀油谷湾層群の堆積地質学的研究
- Sam BOGGS,Jr.:Principles of Sedimentology and Stratigraphy
- 水谷伸治郎・斎藤靖二・勘米良亀齢編著:日本の堆積岩
- 南部フォッサマグナ, 曙礫岩の堆積学的研究
- 前田仁一郎ほか・編集委員会編:北海道の地質と構造運動
- 氏家 宏著:琉球弧の海底:底質と地質
- 駿河湾の文献目録 II-海況, 地質学, 古生物学, 地震・地球物理学関係
- 砕屑性堆積物研究会編 : 堆積物の研究法-礫岩・砂岩・泥岩
- 海底写真からみた駿河湾および相模湾の底層流 : 海洋地質
- GEOLOGY TTODAY The Geological Society (London) and the Geologists' Association (London)
- 種子島の四万十層群 : 堆積