四国西部〜中東部の南部秩父帯三宝山ユニットに分布する緑色岩類の起源と変成作用
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概要
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四国西部〜中東部の南部秩父帯三宝山ユニットには,緑色岩が泥質岩や珪質泥岩中に異地性岩塊として産出し,それらはしばしば枕状構造を呈し,一部で枕と枕の間に石灰岩を狭在する.緑色岩は,斜長石,カンラン石,単斜輝石などの斑晶を含み,全岩組成では,低Nb/Zr型と高Nb/Zr型に分類され,前者は中央海嶺玄武岩ないしは背弧海盆玄武岩に,後者は海洋島玄武岩に類似する.残晶単斜輝石の化学組成は,鉄の増加に伴って,Caが低Nb/Zr型では減少し,高Nb/Zr型では増加する.変成鉱物の組合せから,高Nb/Zr型には中〜高温部の沸石相が,低Nb/Zr型と一部の高Nb/Zr型にはブドウ石-パンペリー石(PP)相からパンペリー石-アクチノ閃石(PA)相が識別される.沸石相の高Nb/Zr型は仏像構造線の北側に分布する三宝山ユニットのみに分布し,PP相からPA相の低Nb/Zr型は四国西部の鳥坂地窓,及び同じ変成相の高Nb/Zr型は中津川地窓に分布する.地窓に出現する緑色岩は,全岩組成や変成相において北部秩父帯のものに類似している.これらの事実から,1)四国西部の三宝山ユニットには多種の緑色岩が別々の層準として存在する,2)地窓に分布する緑色岩は北部秩父帯の構成要素である,という二つの解釈を提起した.
- 日本地質学会の論文
- 2003-05-15
著者
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