非貴金属系合金の溶出に対する浸漬条件の影響
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概要
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バイオマテリアル用金属材料の腐食挙動をin vitroで研究するために, 純Ni, 純Ti, NiTi合金および316Lステンレス鋼からの各組成元素, Ti, Ni, FeおよびCrの溶出に関して, 浸漬条件, pH, 浸漬期間および濾過の影響についてしらべた.浸漬液はpH3.5, 7.0および9.5に調整した.また, 浸漬は静置条件と160rpm, 200rpmと230rpmの旋回条件下で3日間および7日間行った.その結果, 静置条件下ではpH3.5で純NiとNiTi合金からのNiの溶出が, 316Lステンレス鋼からはわずかなNiとFeの溶出が認められた.一方, 旋回および浸漬期間の延長ともに各組成元素の溶出量は増加した.pH値の影響はpH3.5で最も多い溶出量を示したが, とくに, Niで顕著であった.また, 濾過によって各金属元素量は減少したが, 純TiあるいはNiTi合金からのTiは濾液中には検出されなかった.ところが, Ni量は濾液中にも相当量が認められ, Niの溶出はイオンなどの可溶性物質として溶出しやすいものと考えられた.とくに, pH3.5でその傾向は顕著であった.今回の結果から, 動的条件下での合金の溶出は単なる静置条件下でのそれと明らかに異なっていた.また, その存在状態も溶出元素によって異なっていた.今後, in vitroで金属材料を評価する場合, 動的因子下での試験および溶出元素の存在状態を知ることの重要性を示唆している.
- 日本歯科理工学会の論文
- 1990-05-25
著者
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