動的環境下でのAg-Pd二元合金の溶出挙動とその細胞毒性について(in vitro)
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概要
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種々な組成のAg-Pd二元合金を培養液(MEM)中にて摩耗因子を負荷した200rpmの旋回条件下で抽出した.さらに, 抽出後, 0.22μmのフィルターを用いてイオンなどの可溶性物質を含む濾液と摩耗片や不溶性の沈澱物などを含む抽出液とに分離した.そして, 抽出液および濾液中のAgおよびPd溶出量をしらべるとともに細胞に作用させ, その細胞毒性について検討した.その結果, 溶出についてはPd含有量が増加するとともに抽出液のAg量は減少し, Pd量は増加した.また, 濾液中ではPd量はPd含有量の増加および抽出期間の延長により増加したが, Agはほとんど認められなかった.一方, 細胞毒性については1日間抽出後の抽出液は純Agで強い細胞毒性を示したが, Pdの添加量が多い合金では細胞毒性は減少し, 対照群に近いものであった.3日間抽出以降では多量の摩耗片を生じ, 細胞毒性の測定ができなかった.濾液を作用させた場合には, 1日および3日間抽出後では細胞毒性を示さなかった.しかし, 5日および7日間抽出後では, 細胞毒性が認められた.とくに, 高Pd含有合金で顕著であった.今回の結果から, 動的条件下での合金の溶出と細胞毒性は静置条件下でのそれと異なることが明らかになった.さらに, 0.22μmのフィルターによる濾過によって抽出液中の組成元素量と細胞毒性が異なったことから, 今後生体用金属材料の腐食や生体適合性を考えていくとき, 溶出物の存在状態を知ることの重要性が示唆された.
- 日本歯科理工学会の論文
- 1990-11-25
著者
-
武田 昭二
大阪歯科大学歯科理工学講座
-
中村 正明
大阪歯科大学・歯科理工学講座
-
堤 信之
大歯大・理工
-
武田 昭二
大阪歯科大学
-
中村 正明
大阪歯科大学
-
滝本 知彦
大阪歯科大学歯科理工学教室
-
堤 信之
大阪歯科大学歯科理工学教室
-
小杉 博基
大歯大・理工
-
堤 信之
大阪歯大・歯科理工
-
小杉 博基
大阪歯科大学歯科理工学講座
-
滝本 知彦
大阪歯大・歯科理工
-
小杉 博基
大阪歯科大学大学院歯学研究科歯科理工学専攻
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