分岐学における祖先推定 : 組合せ最適化問題としての系統推定
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概要
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生物の形質状態データを与えたとき、系統関係を最節約的に推定するという基準を置く.このとき分岐図(系統樹)の内部分岐点(仮想的共通祖先)に配置できる仮想的形質状態(MPR:最節約形質復元)を網羅的に枚挙することは,形質進化の歴史を復元する際には不可欠である.この問題は、離散数学的にはSteiner tree問題の一部である、Steiner点の構築と枚挙という離散的最適化問題に関係する.しかし、あるOTU形質データのもとでのMPR集合(同程度に最節約的なMPRの全体集合)を網羅するだけでは、形質進化の解析を進める上では不十分である.個々のMPRの特性、相異なるMPR間の比較方法そしてMPRの背後にある生物学的仮定を明らかにする必要がある.ここではMPR集合の代数的性質を解析し,MPR間の構造比較をするための一つの規準として提出した歪み指数(distortion index)について述べる.歪み指数は,分岐図の報に対して決定される部分木があるMPRのもとで持つ全長と基準MPR(ACCTRAN)との偏差(正の値)を全部分木に関して合計することにより得られる.ACCTRANの歪み指数はゼロである.したがって,ACCTRANではないすべてのMPRはある正の歪み指数を持つことになる.歪み指数は,特定の部分木に形質進化がどの程度集中しているかの尺度を与える.歪み指数から見ると, ACCTRANではすべての部分木に均等に形質進化が分散しているのに対し,DELTRANでは特定の部分木に形質進化が集中しているといえる.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1997-05-15
著者
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