乙類焼酎粕を利用した減塩調味料の生産および性質
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
乙類焼酎粕の調味料原料への高度利用を検討して以下の結果を得た.(1)米焼酎粕または麦焼酎粕を干麩と共に10%食塩, 5%エタノール存在下, 醤油麹で分解熟成後1.25倍希釈して米焼酎粕減塩調味料および麦焼酎粕減塩調味料を試作した.(2)20-40℃の範囲で分解熟成した結果, 温度を上げるにつれて得られた分解液の色度は大きくなった.TN, FNなどの他の分析値には大きな変動はなかった.諸味のろ過速度は醤油諸味と比較して麦焼酎粕減塩調味料諸味は速く, 米焼酎粕減塩調味料諸味は少し遅かった.これらの結果から, 本調味料は一般の醤油工場で生産可能と判断された.(3)クエン酸, リンゴ酸, コハク酸濃度は米焼酎粕減塩調味料がそれぞれ1.70mg/ml, 0.88mg/mlおよび0.94mg/mlであり, 麦焼酎粕減塩調味料中はそれぞれ1.68mg/ml, 0.71mg/mlおよび1.05mg/mlであった.多量の有機酸を含むに関わらず, 本調味料は酢かどがなく, まろやかな味を示した.(4)米焼酎粕減塩調味料のアンジオテンシンI変換酵素阻害(ACEI)活性[IC_<50>]は1.77mg protein/mlであった.また, γ-アミノ酪酸(GABA)を33.3mg/100ml含有し, これは133mg/100g dry wt.に相当した.麦焼酎粕減塩調味料のACEI活性[IC_<50>]は1.64mg protein/mlであった, またGABAを32.6mg/100ml含有し, これは130mg/100g dry wt.に相当した.本調味料が異なる二種の生体内血圧調節系に関与する物質を含むことは, この調味料が抗高血圧作用活性を有する可能性を示している.(5)米焼酎粕減塩調味料および麦焼酎粕減塩調味料中の遊離グルタミン酸量はそれぞれ約0.69%および0.54%で醤油が1.0-1.2%であるのに比べ幾分低濃度であったが, 諸味中にグルタミナーゼを添加することでそれぞれ約1.3%および1.5%まで増大させることができた.
- 社団法人日本生物工学会の論文
- 2001-07-25
著者
関連論文
- γ-アミノ酪酸を含む米焼酎粕乳酸菌発酵液の機能性
- 純芋焼酎の製造に関する研究 (第1報) : 芋麹の開発とその特性について
- 純芋焼酎の製造に関する研究 (第2報) 焙炒芋麹製造における糖化系酵素活性の向上
- 減塩麹分解法による機能性調味料の生産
- 657 植物蛋白質の常温酵素分解液の調製とその性質
- 減塩麹分解法による鰹節蛋白質の調味液化およびその調味効果
- 乙類焼酎粕を利用した減塩調味料の生産および性質
- 849 鰹節の醤油麹での分解&熟成による調味料の生産
- アルコール耐性一倍体株同士の交雑による吟醸香高生成酵母の育種