共焦点レーザー顕微鏡による米麹の観察

概要

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清酒醸造用米麹中の菌糸の伸長や産生されたα-アミラーゼの分布を可視化するために, 抗菌糸抗体, 抗米タンパク質抗体, 抗α-アミラーゼ抗体を作製し, それぞれの各蛍光標識抗体で米麹の薄切片を分別染色し, CLSMにより観察した.その結果, (1)免疫蛍光染色とCLSMの組み合わせにより, 菌糸, タンパク質および酵素の分布の可視化, および三者の相対的な関係を観察することが可能となり, 麹の画像解析による生態研究が可能となった.(2)麹菌糸, 米粒タンパク質およびα-アミラーゼの米粒断面における正確な分布画像を得た.これら3者の分布画像をオーバーレイすることにより, 位置関係を観察することができた.(3)3者の位置関係を解析することにより, 菌糸は米胚乳細胞壁に沿って伸長し, α-アミラーゼは菌糸の伸長初期から生産され, 菌糸の増殖と共に増加し, 菌糸叢周辺より広く分布することが示唆された.これらの結論は, 菌糸と胚乳細胞壁, 菌糸とα-アミラーゼの空間的関係に関する従来からの報告を追認するものであった.
社団法人日本生物工学会の論文
1999-08-25