クロレラによる水銀還元気化に及ぼす化学種と光照射の影響

概要

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クロレラによるHg^<2+>還元気化反応をHg^<2+>とBr^-で形成される錯体種と関連づけて検討するとともに, 光照射の影響についても調べ, 以下の結果を得た.(1)明条件下でのクロレラによるHg^<2+>還元気化速度は[HgBr_2]^0生成系>[HgBr_3]^-生成系&Gi;Br^-無添加系の順であり, Hg^<2+>の溶存化学種に大きく影響された.暗条件下でのHg^0気化量はいずれの系でも小さかった.(2)暗条件下での細胞内部へのHg^<2+>の取り込みは[HgBr_2]^0生成系, [HgBr_3]^-生成系で速く, Br^-無添加系で遅かったが, 長時間後の取り込み量はいずれもほぼ等しかった.(3)Hg^<2+>の細胞表面への吸着挙動はラングミューアの吸着等温式を用いて解析でき, その最大吸着量と吸着平衡定数を求めた.(4)[HgBr_2]^0生成系で, Hg^<2+>を添加した20分間後に光照射した実験から, Hg^<2+>還元気化量は光照射時間に大きく依存していることが示された.以上のように, Hg^<2+>のクロレラによる還元気化は光依存性のものが中心であり, さらに, この還元はHg^<2+>が細胞膜を透過して細胞内の還元部位に到達した後に起こること, [HgBr_2]^0錯体は細胞膜を透過しやすいため, 明条件下での還元気化速度が高くなることを明らかとした.
社団法人日本生物工学会の論文
1999-06-25