微量過酸化水素の薄層フローセルによる電気分析
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概要
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過酸化水素の徴量定量は生化学,臨床化学上重要であるのみならず,最近,食品化学においてもその重要性が指摘されている.そのため各種の微量分析法が提案されている.その中で,吸光光度法にはHantsch法及びその改良法などがあるが,感度と特に特異性に関して十分とはいえない.けい光分析法には最近,ホモワニリン酸のペルオキシダーゼ存在下での過酸化水素による酸化を利用した方法,ペルオキシダーゼ(POD)と4-アミノ-1H-1,5-ベンゾジアゼピン-3-カルボニトリル塩酸塩を用いた方法などが報告され,後者の検出感度は0.6μMに及ぶ.著者らはサイクリックボルタンメトリーにより過酸化水素の電極挙動を検討し,薄層フローセルを用いた電気化学的検出法によりけい光法に匹敵する感度(〜1μM)の連続分析が再現性良く行えることを認めた.本法の動作電極にはグラッシーカーボン電極を用いた.この電極を表面研摩後,pH3.0クエン酸塩緩衝液中で(20〜30)分間1.4Vで電解酸化すれば著しく感度,再現性が改善されることを見いだしたためである.サイクリックボルタンメトリー(掃引速度:20mV/s)において過酸化水素は濃度1mM,pH7.2リン酸塩緩衝液中で0.88V(対銀/塩化銀電極)に非可逆な2電子酸化波ピークを示した.ピーク電流は10mM〜50μM(1.7ppm)で191μA/mMcm^2のこう配を持つ直線を与えた.微量定量はセル容積2.25μl,流液の線速度8.9cm/sの薄層フローセルを用いて0.95Vの固定電位で行った.検出限度10ppb,定量誤差c.v.値1%(〜1ppm),2.4%(〜0.2ppm)で,濃度(0.1〜1.4)ppmにわたり直線性の良い検量線を得た.本法は操作簡便で特別の試薬を必要とせず,1検体1分ごとの連続分析が可能であり,試料液量は10〜100)μlで足りるという特徴を有する.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1981-07-05
著者
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