膜捕集を利用する高感度簡易分析法の設計 (<特集>ダウンサイズ化する分析化学)

概要

論文の詳細を見る
メンブランフィルターを用いる水中の微量成分の新しい濃縮/定量法を分析化学におけるダウンサイジングの観点からまとめた. この方法では, 目的成分をまず化学反応によって疎水性の成分に変換する. 次いで, メンブランフィルターに通して, 膜素材との疎水性相互作用を利用して捕集する. その後, 少量の有機溶媒で膜から溶出したり, 膜ごと溶解して, 吸光光度法や原子吸光法, 誘導結合プラズマ発光分析法など適当な分析機器で測定する. この方法では100倍以上の濃縮を容易に行うことができる. 光反射吸光光度法や色彩色差法, 光透過膜を用いた新しい方法では, 溶解や溶出の操作が必要なく, 迅速・簡便なことに加えて, 有害な有機溶媒を使用しないので, グリーンケミストリーの視点からも新たな展開の可能性がある. このメンブランフィルターを用いる環境水中の微量成分の濃縮/定量法の幾つかの応用例を述べた. また, イオン対の膜捕集挙動をイオン対固相抽出の平衡モデルで解析した, イオンや膜素材の持つ置換基, イオンの立体構造, 添加有機溶媒の抽出挙動に及ぼす影響について述べた.
社団法人日本分析化学会の論文
2000-12-05