塩基性アルコール添加-高周波加熱法を用いるガスクロマトグラフィー/質量分析法によるヒンダードアミン系光安定剤の定性分析
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概要
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樹脂の耐光性や耐熱性を増すために光安定剤として各種ヒンダードアミン系添加剤 (HALS) が使用されているが,分子量が500〜数千と幅広く,しかも揮発性が低くガスクロマトグラフィー (GC) の分析に適さないものが多い.このため,最近では水酸化テトラメチルアンモニウム共存下で熱分解を行うガスクロマトグラフ/質量分析測定 (Py-GC/MS) が多用されている.著者らは高周波加熱法を用いて HALS の前処理の検討を行った.HALS 標準化合物 2mg に水酸化カリウム-メタノール溶液(KOH/MeOH 溶液)15μlを添加,315℃で3分間熱抽出した.得られた抽出液をトリメチルシリルエーテル化(TMS 化)後,GC/MS で分析したところ,各種 HALS の基本構造を示す特徴的な低分子量化合物を1〜3成分検出した.また,自動車鋼板用の上塗り塗料に使われているアクリル樹脂によく使用される HALS を1%添加した試料樹脂塗膜を試作し,これを同様に処理し,抽出物を GC/MS 測定したところ,添加した HALS に特徴的な低分子量化合物が確認された.以上から,これらの HALS に KOH/MeOH 添加熱抽出法を用いることにより,HALS の基本構成化合物を示す種々の特徴的な低分子量化合物が得られた.したがって,樹脂試料などに含有される HALS を容易に GC/MS で確認できることが分かった.
- 2002-08-05
著者
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栗原 建二
大日本インキ化学工業株式会社r&d本部分析センター
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土屋 文代
大日本インキ化学工業株式会社r&d本部分析センター
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東海林 忠生
大日本インキ化学工業(株)分析センター
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東海林 忠生
大日本インキ化学工業 (株) 総合研究所
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