5,5´-ジブロモ-o-クレゾールスルホンフタレインのメタクロマジーによるアルブミンの定量 : アルブミンの種差による呈色度の差臭について
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概要
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アルブミンの定量試薬の一つである5,5´-ジブロモ-o-クレゾールスルホンフタレイン(BCP)がアルブミンに結合すると,その610nmにおける吸収が増加する. しかし,その増加の割合がアルブミンの動物種によって著しく異なることが分かったので,この違いの原因を検討した. Scatchardプロットから,ヒト及びウシアルブミンにはBCPに対してそれぞれ親和性の異なる2種類の結合部位が存在することが明らかになった. 高親和性結合部位の解離定数と結合部位数は,それぞれ,ヒトでO.78X1O-Mと6個,ウシでO.45×lO^<-5>Mと6個であり,低親和性結合部位のそれは,ヒト,ウシともに5・26×1O^<-5>Mと11個であった. 高親和性結合部位だけを飽和する程度の低濃度のBCPを用いたときのLineweaver-Burkプロットから高親和性結合部1モル当たりの吸光度変化を求めると,ウシアルブミンでは2.21×10^3M^<-1>でヒトアルブミンの値の約33%であった. 一方,低親和性結合部位1モル当たりの吸光度変化は,ウシアルブミン(O.65×10^3M^<-1>)とヒトアルブミン(O.50×10^3M^<-1>)でほぼ同じであった. 従って,アルブミン定量の際に使用される過剰のBCP存在下でのヒトアルブミンとウシアルブミンの吸光度変化の違いは,それぞれの高親和性結合部位による吸光度変化に起因すると結論される. これを一般化すると,アルブミンの動物種によるBCPの吸光度変化の差は,アルブミンに結合するBCP量にではなく,高親和性結合部位とBCPの結合の性質の違いに起因すると考えられる.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1983-01-05
著者
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菅原 悦子
中部労災病院健診センター
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長谷川 敬彦
中部労災病院健診センター
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長谷川 敬彦
名古屋大学環境医学研究所
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黒石 忠文
(株)日立製作所那珂工場
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菅原 悦子
名古屋大学環境医学研究所
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武居 能樹
名古屋大学環境医学研究所
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