微分-代数方程式系の一数値解法について
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概要
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微分-代数方程式系(1.1.a)A(t)u'(t)+B(t)u(t)=g(t),t∈[a,b]に対して,陰的Runge-Kutta法(IRK法)を適用した際の精度について論じる.ただし,u(t),g(t)はm次元ベクトル,A(t),B(t)はm次正方行列で,適当な正則行列P(t),Q(t)に対して,(1.1.b)p(t)A(t)Q(t)=(I_1 0 0 0),P(t)B(t)Q(t)=(C(t) 0 0 I_2)の関係を満たすものとする.なお,I_1,I_2 は,それぞれ,m_1次,m_2次(m_1+m_2=m)の単位行列である.この条件が満たされるとき,方程式系(1.1.a)はインデックス1の微分-代数系と呼ばれる.微分-代数系に,IRK法を適用するとき,しばしば次数の低下という現象が起こる.すなわち,IRK法を微分-代数系に適用した際の次数は,微分方程式系に適用した際の次数よりも,一般には,低くなることが知られている.この現象は,(1.2)y'=f(y,z),0=g(y,z)の形の微分-代数系に対しては,有界な(∂g∂z)^<-1>の存在のもとで,Roche[6]によって精密な解析がなされ,理論的にまとめあげられている.しかし,方程式系(1.2)については,陰関数定理を用いてz変数を消去することにより,微分方程式系に変換して,IRK法を適用することも可能であり,次数の低下を避けることもできる.そのような点からは,微分系と代数系が容易に分離されないような系に対する特性を考察することが,より本質的であると考えられる.本発表では,実用性の点から有利と考えられる半陰的Runge-Kutta法を中心に,微分-代数系(1.1)に対するIRK法の精度について論じる.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1990-03-14
著者
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