読点を伴う連体修飾の係り先
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概要
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我々は、機械翻訳システムの日本語解析において、文節間係り受けの曖昧さを減らすために、読点を伴う連体修飾の係り先を調査した。読点を伴う連体修飾は、直後の体言列に係りにくいと考えられがちだが、実際に直後の文節に係るものの数は、例外と考え得る範囲を越えている。また、文の途中に現れる、動詞型や形容詞型の活用語の終止・連体形は、全てが連体形の機能だけを持つと考えられがちだが、読点が後接している場合には、終止形として直後の動詞等に接続するものや他の文節中の述語等と並列になるものが、多く見られる。本稿では、調査結果に基づき、連体形と終止形双方の可能性がある活用語に読点が後接している時、それが終止形として働いているならどのような文節を係り先の候補に残せばいいのか、連体修飾に読点が後接しているなら直後の文節に係るのはどのような場合かについて考察する。データとしては、1987年1月の新聞記事1ヶ月分から抽出された、連体修飾機能を持つものに読点が後接している例(以下、RT+<、>と略記;終止形に読点が後接する場合は、SH+<、>と略記)640例を使用する。ただし、この中には助詞ノに読点が後接する場合を含まない。助詞ノには、連体修飾と主格表示の二つの働きがあるので、その二つの識別問題が、読点を伴う連体修飾の調査に絡むのを防ぐためである。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1989-10-16
著者
-
荻野 紫穂
日本アイ・ビー・エム(株)東京基礎研究所
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荻野 紫穂
日本アイ・ビー・エム株式会社東京基礎研究所
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荻野 紫穂
日本ibm株式会社東京基礎研究所
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成原 克恵
東京女子大学
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荻野 紫穂
日本アイ・ビー・エム
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