マイクロカーネルLavenderにおけるプロセス管理部の構成

概要

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現在,マイクロカーネルの技術は多くのオペレーティングシステムで採用され,その有効性が認められている.しかし,そのマイクロカーネルにもまだ多くの課題が残されている.我々は,残された課題を解決するために,ポリシとメカニズムの分離,ユーザカスタマイズ可能なカーネル,クロスアドレススペースコールのオーバヘッドの軽減などを設計目標にして,マイクロカーネルLavenderを構築している.Lavenderは,メモリ,プロセス,スレッド,プロセス間通信,割り込みに関する機能を持ち,さらに以下のような特徴を有する.(1)階層化インタフェースカーネル内部を,ニュークリアス層,カーネル層,システム層という,ハードウェアに直接関係した層から,より高度化・抽象化された層までの3階層に階層化した.そして,この階層化インタフェースの各階層をユーザに提供している.ユーザは目的に応じて,適切な機能を持つインタフェースを選択し,システムサーバをより柔軟に構築することができる.(2)プロセスグループ機能1つの仮想アドレス空間内に複数のユーザプロセスを同時に存在させることを可能にする機能である.この機能により,グループ内のプロセス間で,同一アドレス空間内のジャンプを用いたスレッドの切り替えが容易に実現できる.また,プロセス間で共有メモリを確保することでプロセス間の協調作業も容易に実現できる.(3)レジデントアドレス空間Lavenderでは,仮想アドレス空間をユーザアドレス空間,カーネルアドレス空間,レジデントアドレス空間の3つに分類している.レジデントアドレス空間はユーザアドレス空間の特殊な形態である.異なるグループに属するプロセス間でプロセスの切り替えが発生した場合,ユーザアドレス空間は切り替わる.しかし,レジデントアドレス空間はこの場合でも切り替わらない.ユーザプロセスから見ると,レジデントアドレス空間内にあるプロセス(以下,レジデントプロセスと記す)は,同じグループに属しているように見える.これによって,レジデントプロセスとユーザプロセスの間でも,同一アドレス空間内のジャンプを用いたスレッドの切り替えや,共有メモリによる協調作業が容易に実現できる.本論文では,Lavenderの特徴である階層化インタフェースについて,特にプロセス管理部について述べる.
1995-09-20

マイクロカーネルLavenderにおけるプロセス管理部の構成

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