多項式の係数入力誤差と根の誤差およびその対策
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概要
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ニュートン法,BIRGE-VIETA法を用いて多項式の根を計算する時,いずれも多項式の係数を入力し反復計算を行なって根を求める.係数は計算機に入力した時点で誤差を生じる.この誤差が,根に大きく影響する場合もある.係数入力誤差に対する根の誤差を最小に抑えておけば,求める根の累積誤差も当然少なくなるであろう.本稿では,一度求められた根(例えば単精度の時)を利用し全根の平行移動(倍精度で行なう)を行なって任意の根を0に近づけ,係数の誤差に対する根の影響を少なくする方法を堤案する.すなわち,多項式の係数が計算機に入力された場合の係数誤差と根の誤差の関係(Δξ≑(-Δa_nξ^<n-1>-Δa_<n-1>ξ^<n-2>・・・・-Δa_2ξ-Δa_1)/f'(ξ))を求め,Δa_<n-1>,Δa_<n-2>,・・・Δa_2,Δa_1,ξを減少させることにより根の誤差Δξを減少させる方法を理論的,技術的に提案する.ここでは,Δξを0に近づける方法を全根の平行移動によって行なった.平行移動で注意することは,係数移動に対し,単精度の係数入力に対してただ単に原点移動したのでは根の精度は変化しないことである.さらに,一度求められた根(誤差を含む)に対して,その値の有効桁数を平行移動量とするのであるが多くすればするほど2回目に計算される根の精度は,向上することがわかった.この結果,両反復法において倍精度で係数入力から反復法を行ない根を求めるよりも,一度単精度で根を求め,その根を用いて,倍精度で係数移動計算を行ない,さらに丸められた係数を使って単精度で反復計算を行なった結果,倍精度計算よりも根の誤差を少なくすることが出来た.この方法により,従来からBIRGE-VIETA法の欠点となっていた累積誤差を少なくすることが出来た.また,ニュートン法に対しても同様の結果を得た.すなわち,計算機を使用して両反復計算を行なう時,係数入力誤差に対する根の誤差を抑えるための方法を示した.だだし,本稿では一度目の数値計算においての計算結果が実数でしかも重根を含まない多項式の根に対する改善を扱った.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1995-03-15
著者
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