耐塩性細菌, Corynebacterium sp.の生産するL-アウギナーゼの精製と性質
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概要
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海水より分離した耐塩性細菌の1株Corynebacterium sp. No.46のL-アルギニン生育菌体よりL-アルギナーゼを精製した.本菌はアルギニンをよく資化し, 培地中に著量の酵素を蓄積する.また, アルギニン・デイミナーゼ, アルギニン脱炭酸酵素, ウレアーゼ等を全く生産せず, アルギナーゼの精製に適した菌株である.精製ルギナーゼは分子量129,000でありureotelic型に属する.本酵素の基質得異性は高く, L-アルギニンの他, L-ホモアルギニンに2.2%作用するのみで, D-アルギニン, L-カナバニンにはほとんど作用しない.L-アルギニンに対するK_m値はMn^<2+>の添加量に依存して変化し, Mn^<2+>飽和量存在下で求めた真のK_m値は4.6mMであり, Mn^<2+>に対するK_m値は91μMであった.以上の検討結果より, 本酵素の反応には酵素-Mn^<2+>-L-アルギニンの複合体がcompulsory orderで形成されることを明らかにした.その他の一般的性質はすでに発表されたBacillus subtilisのアルギナーゼの性質とよく類似しており, 本酵素もL-リジンの添加により拮抗的に阻害された.そのK_i値は7.5mMであった.本菌は耐塩性を示し, 本酵素は15%のNaClの存在下で安定性は増し, MnCl_2の添加によりその安定性はさらに増した(50℃, 40分間の熱処理).L-スレオニンも酵素の安定化に有効であり, MnCl_2とL-スレオニンが共存するとおのおの単独の場合に比し, 酵素の安定度はされに大となった.
- 社団法人日本生物工学会の論文
- 1976-12-25
著者
-
山中 啓
香川大学農学部
-
山中 啓
香川大学農学部食品学科
-
山中 啓
香川大学農学部食品学科:筑波大学応用生物学系
-
義野 道信
香川大学農学部食品学科
-
原 辰郎
香川大学農学部食品学科
-
義野 道信
香川大学農学部食品学科:四国電力(株)原子力部原子力計画課
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