放線菌Streptomyces sp. P-51の生産する緑膿菌溶解酵素
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概要
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平板法を用いて土壌より分離したPseudomonas aeruginosa溶菌酵素生産株Streptomyces sp. P-51を含乳糖ブイヨン培地で32℃, 30時間振盪培養すると酵素生産は最高に達する. この培養濾液を0.75飽和硫安で塩析後, 50mM酢酸緩衝液(pH6.0)に対して透析し, Duolite A-2素通り区分を集め, 5mM酢酸緩衝液(pH5.8)に対して透析をおこない, CM-Celluloseによる吸着, 食塩濃度勾配法による溶出, さらにCollodione bagでの透析濃縮後, 等電点泳動法により溶菌酵素を約300倍精製した. 得られた酵素はディスク電気泳動的に単一であった. 本酵素の至適pHは5.0,至適温度は50℃, 安定pH5〜7であり, 65〜70℃, 30分処理で失活した. 種々の化学試薬による影響は余り見られなかったが, 0.3mMのN-bromosuccinimideにより失活した. 溶菌スペクトルを調べた結果, 本酵素はM. lysodeikticus, B.mesentericusやB.megateriumにも僅かに作用することが判った. 本酵素の等電点は9.8,E^<1%>_<1cm>=13.4,SDS電気泳動法により推定された分子量は1万9千で, そのアミノ酸組成はLys3,His3,Arg10,Asp15,Thr21,Ser20,Glu13,Pro8,Gly27,Ala22,Val11,Met1,Ile6,Leu11,Tyr7,Phe3,Trp3であった. 本酵素の細胞壁に対する作用を明らかにする目的でHeilmanの方法に従って調製したP.aeruginosa細胞壁にこの酵素を働かせ, 濁度変化, 還元糖及び遊離アミノ基の変化を調べたところ濁度低下に伴って還元糖の増加が見られたが, 遊離アミノ基の増加は認められなかったことから, この酵素は細胞壁の糖部分に作用すると結論された. さらに酵素の作用点を明らかにする目的で本酵素により可溶化したP.aeruginosa細胞壁の還元性末端アミノ糖をNaBH_4によりアミノ糖アルコールに変え, 酸水解後, アミノ酸自動分析機でアミノ糖を定量したところ, ムラミン酸のみが消失していることが判った. このことより本酵素はN-アセチル・ムラミル-N-アセチル・グルコサミンのβ-1,4結合を水解する一種のムラミターゼ(EC3.2.1.17)であると結論される. 以上の結果を既に報告されているPseudomonas溶菌酵素や種々のリゾチーム様酵素と比較検討し, 考察を行なった.
- 社団法人日本生物工学会の論文
- 1975-10-25
著者
-
山崎 浩子
長崎大学薬学部
-
鶴 大典
長崎大薬
-
芳本 忠
長崎大学薬学部
-
芳本 忠
長崎大学 薬
-
Yaegashi T
Yakult Central Institute Of Microbiological Research
-
芳本 忠
長崎大・薬
-
林田 真二郎
長工醤油味噌協同組合
-
林田 真二郎
長崎大学薬学部
-
鶴 大典
長崎大学薬学部
-
鶴 大典
熊工大
-
鶴 大典
長崎大
-
鶴 大典
長崎大学 薬
-
Tsuru D
Department Of Applied Microbiology Kumamoto Institute Of Technology
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