炭化水素醗酵の生物化学工学的研究 : (第1報)油水混合系における酸素移動
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概要
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炭化水素などの水に不溶な油の存在する醗酵系において気相から水相への酸素の移動は, 従来の糖質を用いた醗酵に比較していかなる変化を示すかを検討した.そのためにまず亜硫酸ソーダの酸化反応系をモデルとしてとりあげ, 系の酸素移動に対する炭化水素油(ケロシン)の影響をみたろころ, 炭化水素油の存在により気相から水相への酸素移動はきわめて速くなった.酸素移動速度係数k_La/Hは坂口フラスコに液量100mlの振盪培養条件(振盪速度135 oscill/min, 振巾7 cm)では4.2×10^<-6>(g-mole/ml・atm・min)であるが, 同一液量で水溶液15%, 炭化水素油85%の条件では29×10^<-6>の高い値を示し, 炭化水素油の酸素移動に対する影響は著しいことを認めた.そしてk_La/Hの値は系の炭化水素油の量と共に指数関数的に増大した.Aerobacter aerogenesを炭化水素油の存在する培養系で培養した結果, 増殖速度は油の比率の大きいほど大となり, 亜硫酸ソーダ法により得た結果を支持した.また炭化水素資化性細菌を用いる培養においても同様な傾向をえた. これら無生物系, 生物系における結果より, 酸素移動に対する炭化水素油の影響について, (1)炭化水素油の乳化分散効果, (2)炭化水素油のヘンリー係数(単位, atm・ml/mole)は水のヘンリー係数に比較してかなり大きな値である, という二観点から考察した.
- 公益社団法人日本生物工学会の論文
- 1969-03-25
著者
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