スーパーポロメーターと生態・生理学的シミュレーション・モデルを用いたブナ林分蒸散量の推定法
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
富士山の海抜1,100mのブナ林で1989年5月中旬から10月末まで, 蒸散速度の日変化および季節変化を調べた。蒸散速度は樹冠の20mと13mのところでライカー社のスーパーポロメーターを用いて測定した。データ処理は蒸散速度と飽差と光条件の平方根を乗じた関係を用いて行った。この関係を利用して樹冠のいろいろな高さの葉の性質の違いを一つの二次曲線で表現した。除間伐による林分の蒸散量の変化を解析するため, 樹冠の葉層における光条件や葉量の違いを表現できる, 生態・生理学的モデルを用いた。生育期間の林分蒸散量は3,200tで, 1日の蒸散量としては8月で2.5mm, 5月や10月では1.5mmだった。蒸散量は午後2時頃に最大値を示したが, これは光条件というより, 飽差に依存していた。優勢木の蒸散量は亜高木のそれよりもはるかに大きかった。除間伐によって, 林分蒸散量は30%しか減少しなかったが, これは亜高木や劣性木で蒸散量がそれぞれ24.6,21.5%も増加したことによる。この変化の誘因として, 除間伐による光条件の大きな変化が考えられる。
- 1992-07-01
著者
関連論文
- 移動形光合成測定システムの試作とケヤキ・クロマツでの測定例
- ブナ樹冠の大気飽差が光合成速度と気孔開閉に与える影響
- 立木の光合成・呼吸速度の計測システムとブナ林での計測例
- 異なる土壌水分条件下で育てたヒノキとアカマツ苗木の光合成・蒸散・水利用効率の日変化及び季節変化
- 地球温暖化を防止する--西オーストラリア乾燥地の大面積緑化による二酸化炭素固定プロジェクトの紹介 (特集 砂漠化防止の実践的取り組み)
- 3.砂漠緑化の技術と展望(平成6年度公開シンポジウム報告「多様性豊かな緑の創出」)
- 要素技術から観たCO_2固定のための砂漠緑化
- 砂漠緑化の実例 : アラブ首長鼠連邦を例として(砂漠の緑化)
- スーパーポロメーターと生態・生理学的シミュレーション・モデルを用いたブナ林分蒸散量の推定法
- 砂漠化対策と地球温暖化対策をどう連携させるか
- 水ストレス下におけるポプラ2種類の光合成とクロロフィルα蛍光反応(Journal of Forest Research)
- タクラマカン沙漠の南縁部における新彊楊における長枝葉とガス交換の日変化および季節変化
- 日射量, 気温および飽差条件に対する3種類のポプラの反応
- モミ樹冠における枝形成と光要因の相互依存関係(II) : 枝条による遮蔽と樹冠内の光減衰の関係
- 異なる土壌水分条件下で育てたリンゴとニセアカシア苗木の光合成・蒸散・水利用効率の日変化及び季節変化
- モミ樹冠における枝形成と光要因の相互依存関係(I) : 測定法および樹冠構成要素の解析について
- 47.植物の水分生理からみた保水材の評価(第25回日本緑化工学会研究発表会)
- 46.日射量・気温・土壌水分を考慮したソルガム光合成量のシミュレーション(第25回日本緑化工学会研究発表会)
- 乾燥地緑化研究部会第5回保水剤研究集会記録
- 半乾燥地における蒸発散測定装置の試作について
- 苗場山ブナ林における15年間の一次生産量の変化
- アフリカ・サヘル地方, イスラエルを踏査して : 半乾燥地域現地調査記
- 17年生クヌギ萠芽林の陽樹冠・陰樹冠における光合成・呼吸・蒸酸速度
- ハンドヘルドコンピュータを用いた樹皮呼吸測定装置の試作とクヌギ林での計測例
- ヨーロッパ・ブナと本邦産ブナの現存量の相違に関する比較研究
- 半乾燥地の生態系を活かした二酸化炭素固定増大の可能性
- データ計測制御装置をそなえた樹木のCO_2・H_2Oガス代謝計測システムとブナ林での計測例
- 富士山の特異な生態系 (今月のテーマ/富士山国有林をめぐって)
- 灌水頻度と環境因子がアルファルファの蒸散速度, 葉温及び生育に及ぼす影響
- 西ドイツ・ゾーリングにおけるヨーロッパブナの樹皮呼吸の日変化および季節変化
- 海抜高の異なる苗場山ブナ天然林の生産構造と機能のモデル化--個体についての生態・生理学的コンピュ-タ・シミュレ-ションモデルによる物質生産の解析〔英文〕