林木の耐鼠性に関する研究(IV) : グイマツのエゾヤチネズミに対する喫食抵抗性に関与する化学成分
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概要
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カラマツとグイマツの耐鼠性の差は揮発性成分の誘引力の差によるのではなく, 喫食に直接関与する成分によるのではないか, という考えのもとに, 両樹種の樹皮の原形を保ったまま, おもな化学成分を次々に除去し, エゾヤチネズミに与えて, 喫食量を比較した。実験に供した樹皮は次のとおりである。(1)生樹皮, (2)生樹皮を50℃で減圧乾燥させ, 揮発性成分を除去した樹皮, (3)さらにジクロルメタンで粗樹脂を除去した樹皮, (4)さらに50%アセトンで粗タンニンを除去した樹皮。実験結果は次のとおりである。(1)カラマツの生樹皮はよく喫食されたが, グイマツのそれはほとんど喫食されなかった。(2)揮発性成分を除去しても喫食されかたは変わらなかった。(3)粗樹脂を除去するとグイマツ樹皮も喫食されるようになり, 樹種による差は非常に少なくなった。(4)粗タンニンを除去すると, その差がほとんどなくなった。このことからグイマツとカラマツのエゾヤチネズミに対する喫食抵抗性には粗樹脂が重要な関与をもっていること, 粗タンニンもいくらか作用していることが考えられる。なお, この実験で用いられた化学操作は抵抗性成分に変質をおこさせないことも確かめられた。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1977-05-25
著者
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