花粉膜の表面構造に関する電子顕微鏡的研究(II)
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概要
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第I報に述べたCarbon replica法によつて, さらに5種の樹木花粉の表面微細構造について電子顕微鏡的研究を行なつた。その結果の大要は次の通りである。1. イヌガヤ(C. drupacea SIEB. et ZUCC.)花粉;表面はすべてコンペイトウ型粒状物によつておおわれており, この粒状物は第I報所載のスギ, コノデガシワと同様剥離しやすい性質をそなえている。しかしながら, その粒状物の表面にある微小な突起物の先端並びに粒状物が剥離した跡の肌理は若干ことなつている。2. アカマツ(P. densiflora SIEB. et ZUCC.)花粉;表面はI報に述べたクロマツ花粉と全く同様である。しかし, 胴体における花野菜型の隆状突起物の大きさがクロマツとは若干ことなつている。なお, 発芽孔の表面を明らかにすることができた。3. コシヨウザン(C. lanceolata HOOK.)花粉;表面はコンペイトウ型粒状物によつておおわれている。このコンペイトウ型粒状物の形はスギの場合と酷似しているが、その大きさ及び配列状態がことなつている。4. オオバヤシヤブシ(A. Sieboldiana MATSUM.)花粉;表面は微細な刺状物によつておおわれており, この刺状物はすでに述べたクマシデ及びオニグルミの花粉と同じ性質のものである。しかしながら, この花粉粒の発芽孔の間は顕著な弓形の一辺をなしている。5. アラカシ(Q. glauca THUNB.)花粉;表面は外壁のもり上つた隆状物が伏瓦状に配列し, しかもその隆状突起の表面に微細な刺状紋が多数散在している。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1958-01-25
著者
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