花粉膜の表面構造に関する電子顕微鏡的研究(I)
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概要
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1956年来, 筆者等はCarbon replica法による花粉膜の表面微細構造に関する電子顕微鏡的研究に着手した。この研究の供試料は第1表に示した通りである。電子顕微鏡的観察の結果, 現在まで光学顕微鏡によつては明確になし得なかつた次の諸点を明らかにすることができた。1. クロマツ(P. Thunbergii PARL.)花粉;胴体の表面は複雑な隆状突起を有し, その表面に小孔が散在している。一方気嚢の表面は比較的平坦で, 無造作な区劃を有し, 胴体と同じく小孔を有する。2. スギ(C. japonica D. DON)花粉;花粉粒の表面全体が多数の微細なコンペイトウ型の粒状物によつておおわれている。このものの大きさは, 必ずしも一定していない。この多数の微細な粒状物は剥がれやすい性質のものである。3. コノテガシワ(T. orientalis LIN.)花粉;スギの花粉粒と同じく表面全体が多数の微細なコンペイトウ型の粒状物によつておおわれている。この粒状物はその性質もスギと同様であるが, 欠除した跡の肌理がスギのそれよりもあらい。4. オニグルミ(J. Sieboldiana MAXIM.)花粉;花粉粒の表面はすべて刺状物によつておおわれている。その刺状物は花粉膜の外壁から突出している。5. クマシデ(C. carpinoides MAKINO)花粉;オニグルミと同様, 表面全体が刺状物によつておおわれている。また, それらの構造および性質等はオニグルミと同様である。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1957-11-25
著者
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