土壌水分の違いが5樹種の蒸散比にあたえる影響
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概要
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土壌水分の違いが, 苗木の蒸散, 生長および, これら2つの量的関係を示す蒸散比にあたえる影響について, トドマツ, アカエゾマツ, カラマツ, シラカンバ, グルチノーザハンノキを用い, 5月29日から9月15日まで実験を行なった。トドマツとアカエゾマツは, 過湿地(85〜75%対乾土)と中庸地(60〜50%)で生長率が良く, カラマツとシラカンバは中庸地で, グルチノーザは過湿地で, それぞれもっとも良い生長率を示した。シラカンバを除く4樹種は, 乾燥地(35〜25%)で生長に悪影響がみられたが, シラカンバは乾燥地で過湿地より良い生長をした。苗木1本当たりの蒸散量は, 各樹種とも7月中旬まで徐々に増え, 飽差の増減とは一致した変化を示さない。しかし, 8月になると飽差の増減と平行的に変化するようになる。乾葉1g当たりの蒸散量は, シラカンバを除く4樹種で, 土壌水分が多くなるほど増加した。針葉樹苗の乾葉1g当たりの蒸散量は, 広葉樹苗の蒸散量より少なかった。蒸散比も, シラカンバを除く4樹種で, 土壌水分が多くなるほど高い値を示した。シラカンバの蒸散比は, 中庸地で高かった。土壌水分の違いにかかわらず, 5樹種中でアカエゾマツは, もっとも高い蒸散比を示し, グルチノーザは, もっとも低は蒸散比を比した。針葉樹苗の蒸散比は, 広葉樹苗の蒸散比より高い傾向を示した。
- 日本森林学会の論文
- 1972-11-25
著者
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