Ascocalyx属菌によるテーダマツの新病害, 溝がんしゅ病
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概要
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近年, 茨城県下の15〜20年生テーダマツ人工林において樹幹に縦に長い溝状のがんしゅ症状を示す被害が発見された。10か所の林分の発病率は4〜57%で, 大部分の病患部は枯枝の基部から発達する傾向がみられた。病患部発病年は1971〜1974年の4か年間で61%, 発病時幹齢は5〜9年のものが75%を占めた。病樹1本当りの病患部数は1個, 病患部長は50〜100cm, 地上高は1〜4m, 向きは南と西向きのものが多かった。病患部中央部の枯枝着生跡付近や周縁部には, 5月下旬〜6月中旬にかけて灰黒色の子のう盤が多数形成される。子のう胞子分離菌株を用いて接種実験を行った結果, 供試テーダマツ苗の61%に明らかながんしゅ症状が発達した。リギテーダマツ苗では40%が初期がんしゅ症状を示した。本病菌は, その形態的特徴からAscocalyx属に所属し, 既知の同属菌と近縁属の菌との形態と生活史の比較を行った結果, 新しい種であるとの結論に達し, Ascocalyx pinicola sp.nov.と命名記載した。本菌によるテーダマツの病害をその症状から溝がんしゅ病と名づけた。
- 日本森林学会の論文
- 1984-02-25
著者
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