テマリシモツケ (Physocarpus) 類の褐斑病
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概要
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本病菌 Cercospora spiraeicola Muller et Chupp は南米グアテマラでシジミバナ (Spiraea prunifolia) 上に記載されたもので, わが国ではテマリシモツケ (Physocarpus amurensis) およびケアメリカシモツケ (P. opulifolius) の葉を侵して著しい褐斑と早期落葉をおこす。人工接種ではシモツケ科の Spiraea 属, Stephanandra 属, Sorbaria 属などには発病しない。日本産の菌は Physocarpus 属にのみ病原性を有し Stiraea 属に陰性である点で若干の疑義は残るが, シジミバナの苗木かえられないこと, シモツケ科の植物上には本種以外に形態的に一致する種がないことから, やはり Cercospora spiraeicola に包括されるものと結論した。本病菌の分生胞子は病落葉上で脱落することなしに高い発芽率を保持したまま越冬し, これが翌春5〜6月に第一次伝染源となる。冬芽における潜伏越冬の可能性はほぼ否定された。感染から発病までの潜伏期間は春の低温期で約2か月, 夏〜初秋の高温期で約1か月である。本病菌の分生胞子は25〜30Cを発芽適温とし空気湿度98%以上で良好な発芽を示し, 92〜94%でも低率ながら発芽する。培地上では分生胞子の形成は認められず, ジャガイモ, 麦芽, 斉藤氏しょう油および Waksman 氏寒天培地上で良好な発育をする。菌そうは10〜35Cの間で生育し25〜30Cを適温とする。水素イオン濃度は, 極端な酸性側を除いては, 分生胞子の発芽および菌そうの発育にほとんど影響しない。
- 日本植物病理学会の論文
- 1976-04-25
著者
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