リターに被覆された土壌表面におけるクラスト形成プロセスの解明

概要

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リターに被覆された土壌表面におけるクラスト形成プロセスを明らかにするために, 中古生層土壌と花崗岩土壌を用いて人工降雨による侵食実験を行い, 土壌表面の団粒の粒度分布や孔隙の目詰まりを, 土壌薄片の断面観察によって微小構造学的に解析した。その結果, 花崗岩土壌の裸地表面には厚さ0.3 mmほどの緻密な層が見られ, skin sealが形成されていることが確認された。一方, 中古生層土壌では, 土壌全体が圧密されて団粒が土壌内部に押し込まれて空隙が埋まってはいるが, 表面が平滑で空隙が見られないことからerosion crustが形成されたものと判断された。二つの土壌によるクラスト形成の違いは, 主に土壌の粒度組成の違いによるものと思われる。また, マツリターで被覆された土壌では, 中古生層土壌, 花崗岩土壌ともに粒子問が粗な堆積層が見られ, 層の下部には団粒が密に詰まっていることからdepositional crustが形成されたものであることがわかった。このようなクラスト形成プロセスの違いが, 降雨に対する浸透能の低下の違いをもたらす原因であると考えられる。
一般社団法人日本森林学会の論文
1998-11-16