林木稚苗の無機養分九州におよぼす施肥量の効果について
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概要
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播種床に肥料分のない関東ロームの赤土を入れた直径、高さ1mのコンクリートポットを使用した。1ポット当りの施肥の黛はN、P、Kがそれぞれ0、3、9、30、90gの5段階になるように硫安、過石、硫加を与えた。播種は1つのポットを1/3にしきって、スギ、アカマツ、カラマツのタネをまきつけた。分析のための苗は7月と11月の2回に採取した。苗は苗高、生重量、乾重量を測定したあと、無機養分の分析試料に供した。1.苗木の生長は図1に示すように施肥量の増加にしたがって増加する。しかし施肥垂がすぎると生長は少し落ちる。殊に追肥の施用量が多いポットにおいてカラマツに枯死苗が出た。2.苗木に含まれる無機養分濃度を乾物重当りの百分率で示すと図2のようになる。Nの濃度は7月の場合、施肥量の増加にしたがい上昇するが、施肥量の最も多いポットにおいてわずかに低下する。11月の場合、施肥量の増加に対してスギ苗においては上昇がきわめて少なく、アカマツ、カラマツ苗においては反対に低下することがわかる。これは一般的にいって苗に吸収されたNは代謝生産物の中に込って組織の増大に関与するはずであるが、無施肥ポットに生育した苛は生長が非常に悪るく代謝生産物による組織の増大はみられない。すなわち、吸収されたNは有機N化合物となって他組織えの転流が考えられない。結局葉に累積され濃度が次第に高くなるものと解される。Pの濃度は全般的に低く、施肥量の増加にしたがってわずか上昇するが、その上昇の隔差は小さい。Kの濃度は施肥量の増加にしたがって上昇し、その上昇の隔差ほ比較的大きい。Caの濃度はスギ苗の場合、施肥量の増加にしたがって上昇し、その上昇の隔差も比較的大きいが、アカマツ、カラマツの場合、全般的に低く、施肥量の増加に対する隔差も小さい。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1965-10-25
著者
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