細菌に対するリドカインの発育抑制作用 : 気管支内採痰時における影響

概要

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気管支鏡による微生物検体採取時に局所麻酔として使用されるリドカインの影響を検討する目的で, リドカインのMIC値の測定, およびリドカインと菌の接触時間による菌量の変化とその後の発育曲線, 気管支内分泌液中のリドカイン濃度の測定を行い, 次の結果を得た。MIC値の測定ではStaphylococcus aureus, Pseudomonas aeruginosaはリドカインの2∿4%で発育が抑制され, Hemophilus influenzae, Klebsiella pneumoniae, Escherichia coli, α-streptococcus, γ-streptococcus, およびNeisseria spp.は0.25∿1%で発育が阻止された。リドカイン接触時間と生菌数の検討では, S. aureus 209P株は4%濃度120分までは明らかな菌量の変化はみられなかったが, K. pneumoniae PCI 602株, P. aeruginosa NCTC 10490株, S. pneumoniae SP-2株およびH. influenzae ATCC 35056株では4%濃度で60分以後より, 2%濃度で120分以後より菌量の減少が観察された。120分接触後の増菌曲線では各濃度間での変化は認められなかった。気管支鏡の施行中に採取した検体のリドカイン濃度は38.1∿17320μg/ml間に分布した。これらの結果から, 気管支鏡を用いて採痰を行う時には, リドカインはできる限り低濃度で用いるべきであり, すみやかな検体処理が重要と思われた。
日本呼吸器内視鏡学会の論文
1993-01-25