トリアムシノロンアセトニドの気管支鏡下局所注入が有効であった肉芽による気道狭窄の 3 例

概要

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肉芽による気道狭窄に対しトリアムシノロンアセトニド(TA)の気管支鏡下局所注入が有効であった3例を経験した。1例目は48歳, 男性。甲状腺癌術後両側反回神経麻痺に対しTチューブを挿入中であった。約1年後にTチューブの抜去を試みたが声門下腔に肉芽狭窄がみられた。狭窄部にTAの局所注入を行ったところ狭窄部の開大が得られ, Tチューブ抜去, 気管切開孔閉鎖が可能となった。2例目は80歳, 女性。気管内挿管が原因と思われる肉芽による気管狭窄の症例。レーザー焼灼により狭窄部を開大したが, 約1ヵ月後に狭窄部に肉芽の再増生を認めた。これに対しTAの局所注入を繰り返したところ再狭窄はみられず退院可能となった。3例目は71歳, 女性。右S^2管状区域切除術施行後, 右上幹吻合部の中枢側に肉芽による狭窄がみられた。これに対しTAの局所注入を行ったところ肉芽は消退した。気管支鏡下のTAの局所注入は手技的に容易であり患者への負担も少ない。また, 今のところ明らかな副作用や合併症は報告されていない。肉芽による気道狭窄症例に対して気道再建術やステント留置を行う前に試みる価値がある治療法と考えられた。
日本呼吸器内視鏡学会の論文
1999-07-25