高周波電流によりポリペクトミーを施行した気管支内過誤腫の 1 例

概要

論文の詳細を見る
高周波を用い内視鏡的に切除し得た気管支内軟骨性過誤腫を経験した。症例は54歳男性で, 咳嗽, 喀痰, 発熱を主訴として当院を受診した。胸部X線写真では右上葉に浸潤影を認め, 胸部CTでは浸潤影の中枢側の右上葉気管支内に腫瘤状の突出像を認めた。気管支鏡検査では, 右上葉はポリープ状の腫瘤によりほぼ閉塞しており, 鉗子にて引っ張ると奥より, 黄色の膿汁の流出を認めた。気管支ファイバーをさらに奥に入れるとB^1とB^2は正常に開き, B^3の入口部は確認できなかった。気管支鏡下生検では, 大部分を軟骨成分が占めており, 良性の過誤腫または軟骨腫などが疑われたので, 閉塞による症状の改善を得る目的で, 高周波によるポリペクトミーを行った。ポリペクトミーには, 消化管ポリペクトミー用のバイポーラースネアを使用した。B^3入口部発生の腫瘤で, 2回の高周波によるポリペクトミーと1回の鉗子除去により, B^3はほぼ完全に開存した。病理組織診断は軟骨性過誤腫であった。切除後1年6ヵ月の現在再発を認めていない。
日本呼吸器内視鏡学会の論文
1995-09-25