気管支結核治癒後の瘢痕性狭窄に対する治療方針

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【目的】気管支結核治癒後の瘢痕性狭窄に対する治療成績を検討し, 今後の合理的治療法を探った。【対象】1984年から2000年までの17年間に都立府中病院において気管支結核と診断した26名を対象とした。性別は男12, 女14だった。年齢は61歳以上が14名, 41歳から60歳までが7名, 40歳以下が5名であった。同症に起因する気管支狭窄のうち15例に外科治療または拡張治療を施行した。その内訳は気管気管支形成術6例(肺温存4, 肺合併切除2), 肺葉切除術5例, バルーン拡張術3例, EMSステント挿入1例だった。うち結核既往のため発見時に瘢痕狭窄を呈していた3例と, 気管・右主気管支の肉芽性狭窄の1例は, 直ちに狭窄解除に着手した。残り11例は半年から1年の初期強化療法後に狭窄を解除した。狭窄部は気管分岐部・右主気管支1例, 左主気管支6例, 中間気管支幹1例, 右上葉支4例, 左上葉支2例, 中葉支1例だった。他方, 狭窄部が外径6mmのBFSが通過し, 無症状の左右主気管支狭窄9例と, 重症合併症を有した肺葉気管支狭窄2例は結核治療のみに止め, 瘢痕狭窄は無処置とした。対象例は2000年末で転帰を調査した。【結果】手術例中, 右管状肺全剔除術を施行した66歳女性が, 結核再燃による吻合部再狭窄により術後半年で院内死した以外は, 全例認むべき合併症もなく軽快退院した。うち気管支喘息を合併した, 左主気管支管状切除術の72歳女性以外は, 経過観察例も含め, 全例良好なQOLを維持している。【結論】気管支結核治癒後の瘢痕性狭窄に対する外科治療およびバルーン拡張術を主とする低侵襲的手法の遠隔成績は良好である。気管支結核の発病初期から, 治癒後の瘢痕狭窄予防策を種々講じている今日, 難治狭窄例は漸減し, 低侵襲の非観血的治療の出番が増えると思われる。だが若年者に対するEMSの半永久的な留置は, 気管支壁穿孔や金属疲労等の問題があり, 他のステントの選択が適当と思われる。
2001-05-25

気管支結核治癒後の瘢痕性狭窄に対する治療方針

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