トウモロコシべと病罹病葉中の菌糸の形態と分生胞子形成能との関係
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概要
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トウモロコシべと病菌の分生胞子は, 前報で報告したように, 展開直後および展開途上の罹病葉では葉先側に形成され, 葉基部側には形成されない。しかし, 日時が経過すると葉基部側にも形成されるようになる。べと病菌を2.5葉期のトウモロコシに接種し, 病徴が現われた第8・9・10葉の胞子を形成する部分, 胞子を形成しない部分, 両者の境界部分から葉片を採取し, また, 未抽出葉の第11葉からも葉片を採取した。連続パラフィン切片を作って観察した結果, 葉組織中の菌糸の形態は3種類に分けることができた。すなわち, じゅず玉状菌糸, 糸状菌糸, 両者の中間型の菌糸である。胞子を形成する部分では, じゅず玉状菌糸が大多数を占め, 中間型菌糸も認められ, 糸状菌糸は僅かであった。胞子を形成しない部分および未抽出葉では, 糸状菌糸が大多数であり, 中間型菌糸も認められたが, じゅず玉状菌糸は全然認められなかった。胞子を形成する部分と形成しない部分の境界部分では, じゅず玉状菌糸と中間型菌糸とが大多数を占め, 糸状菌糸も認められた。以上の結果から, べと病菌の菌糸は抽出中および展開直後の葉組織内においては糸状であり, 日時が経過すると中間型菌糸となり, その後じゅず玉状菌糸になるものと思われる。また, じゅず玉状菌糸になったのちに分生胞子形成能をもつようになるものと思われる。
- 日本植物病理学会の論文
- 1980-04-25
著者
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