Sclerospora maydisによるべと病罹病トウモロコシの病理解剖学的研究
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概要
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Sclerospora maydisによるべと病罹病トウモロコシは典型的な全身病徴を示す。全身感染は寄生植物のいわゆる"生長点"に病原菌が侵入するためにおこると考えられているが, 茎頂(shoot tip)のどの部分に侵入しているのか正確に知るため, 解剖学的な研究を行なった。この報告では, 従来俗に生長点と呼ばれている部分は, 厳密にどの部分をさすのか不明確なため, 生長点という語を用いるのをさけ, 第2図および第3図に示すようにトウモロコシ茎頂部の各組織・器官を定義した。接種20日後, 全身病徴を現わした9葉期のトウモロコシ(品種Harapan)の茎頂部(shoot tip)を中心に, パラフィン切片を作り光学顕微鏡下で観察した。トウモロコシベと病菌の菌糸は, 接種20日後には中央分裂組織(central meristem)を含む茎頂部に達していた。菌糸は葉原基(leaf primodium)を含む殆んどすべての部分に見出されたが, 根および狭義の頂端分裂組織(apical meristem) -最も若い葉原基から上の部分-には見出されなかった。寄生植物内のトウモロコシベと病菌菌糸には二つの型が見られた。糸状菌糸(slender hypha)とじゅず玉状菌糸(crooked hypha)で, 糸状菌糸は細長く, 比較的真直ですべての罹病組織に観察された。じゅず玉状菌糸は肥厚して, 曲りくねっており, 全身病徴を示す展開葉にだけ見られた。展開葉の細胞間隙には, このじゅず玉状菌糸が充満しており, 菌の胞子形成と密接な関係があると推察された。
- 日本植物病理学会の論文
- 1978-04-25
著者
-
稲葉 忠興
農業技術研究所
-
スジャディ M.
Central Research Institute for Agriculture
-
スジャディ M.
インドネシア中央農業研究所
-
梶原 敏宏
熱帯農業研究センター
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