茎接種した抵抗性トマト台木品種LS-89の植物体内での青枯病菌の分布と増殖
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概要
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子葉基部に10^9個/mlおよび10^6個/mlの青枯病菌懸濁液を注入した抵抗性トマト台木品種LS-89の植物体内における青枯病菌の分布と増殖を調べた。10^9個/ml接種ではすべての個体が発病したが下位の2, 3葉が枯れる程度であり, 株の萎縮症状も認められた。10^6個/ml接種個体は無病徴であった。胚軸上部の青枯病菌濃度は接種4日目に10^9個/ml接種個体で生重1 g当り4.0×10^8個, 10^6個/ml接種個体で4.8×10^7個まで増加したがその後は一定であった。接種14日後, 10^9個/ml接種個体の主根から第3〜4葉間の茎部の青枯病菌濃度は生重1g当り1.4〜4.0×10^8個,第5〜6葉間の茎部で2.1×10^6個であった。一方, 10^6個/ml接種個体の主根から第3〜4葉間の茎部の濃度は生重1 g当り, 1.8〜7.3×10^7個, 第5〜6葉間の茎部で5.5×10^2個であった。接種部位(0)から上(+)下(-) 1cmごとに光顕観察したところ, 10^9個/ml接種個体の(0), (+1)および(-1)の茎では髄組織, 一次木部組織および二次木部組織の内側の部分に, (+2), (-2)では一次木部のみに青枯病菌が存在した。10^6個/ml接種個体の(0), (+1), (-1), (+2)および(-2)の茎組織では一次木部のみに青枯病菌が存在した。以上の結果からLS-89において青枯病菌の植物体内での移行および木部組織での移行と増殖の両方または一方を抑制する機構は高濃度の青枯病菌の侵入により, 一部崩壊することが明らかとなった。
- 日本植物病理学会の論文
- 1997-08-25
著者
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