4病害抵抗性遺伝子系における非病原性遺伝子座の非機会的結合 : II. 異なった数の罹病性遺伝子を持った宿主群間の品種の交替
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概要
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抵抗性遺伝子座間の同一罹病性遺伝子数を持つ群内の組合せに関して, 非病原性遺伝子座間の非機会的結合について前報で提案した原理が, その他の組合せにも適用できるかをシミュレーションの方法で検討した。その結果, 前報の結果も含めて次のことが明らかにされた。宿主遺伝子型の切り替えにより起こる病原菌の非病原性遺伝子に関する非機会的結合には, 供与者(古い遺伝子型)により決められるときと, 受容者(新しい遺伝子型)により決められるときとがある。前者では, 抵抗性遺伝子と罹病性遺伝子との組合せで非交差(N)型の非機会的結合が生じ, 他は交差(C)型の非機会的結合を示す。種々のS群(同一数の罹病性遺伝子を持つ遺伝子型の群)の組合せの非機会的結合の型やパターンは概ね上記の原理に基づいて決まるが, 種々の要因によって変化を見せる。非機会的結合パターンを変えるものは, 上述の, 1)宿主遺伝子型の切り替えの方向が最も大きな影響を与え,それ以外に, 2)罹病性遺伝子の数で分類した群の組合せ, 3)個々の病原性遺伝子の適応値, 4)抵抗性遺伝子と罹病性遺伝子が相補的に存在する遺伝子座の数, などがパターンの変化をもたらす。種々の遺伝子型, 例えばA+++を大量に作ると宿主内のA抵抗性遺伝子に対応するa非病原性遺伝子の関連した対a-b, a-c, a-dは非交差型の非機会的結合を, 他の対b-c, b-d, c-dは交差型となる。この場合N : Cは1 : 1となり, この一連の研究の目的であった抵抗性品種から採取した菌のN : C比が1 : 1かそれに近かったことを十分に説明し得るものと考えられる。
- 日本植物病理学会の論文
- 1996-04-25
著者
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斉藤 明彦
筑波国際農業研修センター
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清沢 茂久
筑波国際農業研修センター
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沖中 泰
協和発酵工業株式会社筑波研究所:(現)北海道大学
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清水 勉
筑波国際農業研修センター
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清沢 茂久
協和発酵工業株式会社筑波研究所
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PURBA Donna
筑波国際農業研修センター
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ALI Shamsher
筑波国際農業研修センター
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Kiyosawa S
筑波国際農業研修センター
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Purba D
Tsukuba International Training Centre Ibaraki Jpn
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