Mobile JDK : モーバイルエージェント環境における計算機資源への移動透過な操作が可能なクラスライブラリ
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概要
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モーバイルエージェントはネットワークでつながれた計算機の間を移動し, 自らの仕事を完遂するために, それぞれの計算機資源(例えばファイル・ソケット・GUI)を利用する.資源の中には, エージェントの移動先の計算機上に複製するのが困難なもの(ファイル・ソケット)と複製するのが容易なもの(GUI)がある.既存のJavaベースのモーバイルエージェントシステムでは, エージェントが移動後もそれまで操作していた資源を操作したいとき, 移動を起こす命令の前後に, 各資源ごとにその資源への切断や再接続, もしくは, 複製のためのコードを, プログラマが明示的に書かなくてはならない.移動は, 実行中の様々な時点で起こり得るため.そのようなコードを明示的に書くのは困難であり, かつ, プログラムのモジュラリティの低下につながる.そこで, 我々は次の3つの特徴を持つクラスライブラリを提供する.(1)資源へ継続的に操作するための機構が資源を扱うクラス内部に実装されている.(2)使用中の資源への操作を場所透明に行える.(3)資源を扱うクラスがあるパッケージについて, 標準のクラスライブラリと各クラスのインターフェースやクラス間の階層構造が同じである.これらの特徴により, プログラマは資源への継続的操作のためのコードを各必要がないため, プログラムのモアュラリティが増加する.また, モバイルエージェントは自身と使用中の資源がネットワークのどこに存在していても, その資源を操作できる.さらに, 移動を考慮していない資源を扱う既存のJavaプログラムが最小限度の変更でモーバイル環境で使えるようになるという利点がある.我々の主な成果は, 標準のクラスライブラリのインターフェイスを基に, 上の3点の機能を持つようなクラスライブラリを自動で生成するための方針を考案したことである.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 2000-11-15
著者
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米澤 明憲
東京大学大学院情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻
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米澤 明憲
東京大学理学系研究科情報科学専攻
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米澤 明憲
東京大学理学部情報科学科
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星名 大輔
東京大学理学系研究科情報科学専攻
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関口 龍郎
東京大学理学系研究科情報科学専攻
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山内 裕史
東京大学理学系研究科情報科学専攻
-
関口 龍郎
科学技術振興事業団:東京大学:jst
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