解釈の順序による柔らかい制約の定式化
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概要
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エキスパートシステムにおける合成型問題では,必ず満たされなければならない制約(固い制約)のほかに「できるだけ…してほしい.」というような解に対する好みを表す制約(柔らかい制約)が存在する.このような制約は,固い制約を満たす解の選択条件を与えているとみることができる.本論文は,極小限定(Circum-scription)の一般形である解釈の順序に基づく非単調推論の枠組でこの柔らかい制約を論理的に定式化する試みである.固い制約を一階述語論理式で表すと,固い制約を満たす解は,その論理式を満たす論理的解釈となる.すると,柔らかい制約はその解釈の順序付けを与えていると考えられる.さて,極小限定のモデル論では一階述語論理の解釈間に極小化したい述語の外延の包含関係に基づいた順序が定義されているが,この枠組では「できるだけある値を大きくしてほしい.」というような柔らかい制約に対応する順序を表すには不十分であった.本論文では,一般的な解釈の順序を表すことのできるメタ言語を定義し,そのメタ言語と固い制約を組み合わせることで望ましい解の二階述語論理による形式的定義を与える.さらに,命題論理または,有限ドメイン上の一階述語論理においてモデル論に基づいた証明法を示す.非単調推論の本来の目的は,知識が不完全な場合の知識の補足の定式化であったが,本論文は,合成型問題における解の順序付けという新しい視点を与えている.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1990-06-15
著者
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佐藤 健
(財)新世代コンピュータ技術開発機構
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佐藤 健
(株)富士通研究所
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佐藤 健
National Institute Of Informatics The Graduate University For Advanced Studies
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